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米国における多文化教育の社会的機能
  • 仕様:A5判並製
  • 282ページ
  • ISBN978-4-88359-330-9
  • 発行日:2021/03/31(第2刷)

米国における多文化教育の社会的機能

-マイノリティ・インフルエンスによる変革プロセス-

小川修平

定価1,980円(本体1,800円+税)

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概要

本書は、著者が2008年から行ってきた一連の研究を集大成した学術論文。本論文では、米国においてマイノリティの教育問題へ焦点をあてる多文化教育が、結果として全体の教育制度や教育をめぐるパラダイムを転換するための起点となっていることを、社会学、社会心理学の理論的枠組みを基に明らかにする。すなわち、多文化教育は米国社会における、マイノリティ・インフルエンス(少数派の影響)の過程であり、また教育におけるイノベーションを生み出すものであることを主張する。

目次

  • まえがき
序章 本論の課題と方法
  • 第1節 本研究の目的と意義
  • 第2節 先行研究の検討と問題点の抽出
    1. 日本における米国の多文化教育についての研究の系譜
    2. 三つの先行研究の検討と問題点
    3. 問題点の抽出
  • 第3節 本研究の課題の設定と研究方法
    1. 三つの課題設定
    2. 本研究の方法
第Ⅰ部 米国における多文化教育の歴史的展開と概念枠組みの分析
第1章 米国の多文化教育の歴史的展開
  • 第1節 問題の所在と本章の目的
  • 第2節 多文化教育が起こる社会的背景とその起源
    1. 米国の教育における不平等
    2. 米国における移民の歴史と社会階層の形成
    3. 同化主義政策の流れと文化多元主義の起こり
    4. エスニックスタディーズ(Ethnic Studies)の起源
  • 第3節 多文化教育の前身としての二つの教育運動
    1. 集団間教育(Intercultural Education)の展開
    2. エスニックスタディーズ運動(Ethnic Studies Movement)の展開
  • 第4節 多文化教育の展開
    1. 文化多元主義と多文化教育の形成
    2. 初期の発展における三つの特徴:1970年代~1980年代
    3. 停滞期からの変革的潮流:1990年代~2000年代
  • 第5節 結 語
第2章 多文化教育の概念枠組みの分析
  • 第1節 問題の所在と本章の目的
  • 第2節 四つの研究群における代表的研究の概要とその分析
    1. 初期の問題設定
    2. 停滞期の動向分析
    3. 批判的理論への傾倒
    4. 研究の包括的概念枠組み設定
  • 第3節 米国における多文化教育の問題点
  • 第4節 結 語
第Ⅱ部 米国における多文化教育の実践事例の検討
第3章 マイノリティの学業達成のための実践事例
  • 第1節 問題の所在と課題の設定
    1. 本章の目的:エスカランテに着目する理由
    2. 米国における学業達成格差の現状-ヒスパニック系の苦境-
    3. なぜ、エスカランテなのか
  • 第2節 エスカランテの挑戦の軌跡とその教育手法の分析
    1. エスカランテの挑戦の軌跡
    2. エスカランテの教育手法の分析
  • 第3節 多文化教育におけるエスカランテによる実践の意義
  • 第4節 結 語
第4章 異文化理解と人種間対立を改善するための実践事例
  • 第1節 問題の所在と課題の設定
  • 第2節 グルーウェルの教育実践についての分析
    1. グルーウェルの教育実践の概要
    2. なぜ、グルーウェルによる教育実践は人種間対立を改善できたのか
  • 第3節 グルーウェルの実践事例の多文化教育における意義
  • 第4節 結 語
第Ⅲ部 米国における社会現象としての多文化教育の意義
第5章 イノベーションとしての多文化教育
  • 第1節 問題の所在と課題の設定
  • 第2節 分析視点の設定と理論的枠組みへの適合性
    1. 分析視点の選定
    2. 少数派の影響に関する理論的枠組み
    3. 発生モデルへの適合性
  • 第3節 〈作業仮説1〉の論証:革新としての多文化教育
  • 第4節 結 語
第6章 多文化教育による変革のプロセスと機能
  • 第1節 問題の所在と課題の設定
  • 第2節 分析視点の設定と〈作業仮説2〉の論証:マジョリティの内的変化
    1. 理論的枠組み:社会的自我論
    2. 〈作業仮説2〉の論証:マジョリティの意識変化をもたらす多文化教育
  • 第3節 分析視点の設定と〈作業仮説3〉の論証:規範化の相互性
    1. 理論的枠組み:相互行為秩序論
    2. 〈作業仮説3〉の論証:見えざる規範を明らかにする多文化教育実践
  • 第4節 分析視点の設定と〈作業仮説4〉の論証:コンフリクトの社会的機能
    1. 理論的枠組み:紛争理論
    2. 〈作業仮説4〉の論証:安定と統一をもたらす多文化教育
  • 第5節 結 語
終章 結論―変革を志向する多文化教育の意義―
  • 第1節 各章のまとめ
  • 第2節 本研究で設定された仮説の論証
    1. 仮説の論証 ①
    2. 仮説の論証 ②
  • 第3節 結 語
  • 参考・引用文献

著者紹介

盛岡大学文学部英語文化学科准教授。岩手県立大学盛岡短期大学部非常勤講師。岩手大学人文社会科学部非常勤講師。

※発行時の奥付より

助成出版

盛岡大学研究助成金等による出版

装幀