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イチゴ新品種のブランド化とマーケティング・リサーチ
  • 仕様:A5判並製
  • 230ページ
  • ISBN978-4-88359-353-8
  • 発行日:2019/04/01

イチゴ新品種のブランド化とマーケティング・リサーチ

半杭 真一

定価3,080円(本体2,800円+税)

在庫:あり

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概要

全国で活発に行われている農産物のブランド化。地元産だから売れるはず? 県の品種だから県名を品種名に入れるべき? 新しい品種が数多く育成され、品種間の競争になっているイチゴを素材として、ターゲットの設定、品種名の戦略的なネーミング、未知の品種が選択されるメカニズムを探る。農業サイドに偏った視点になりがちな農産物のブランド化について、流通・消費段階のリサーチに基づいて検討した、公設試発の研究成果の本。

目次

第1章 イチゴ新品種のブランド化を目指して
  • 第1節 農産物のブランド化とマーケティング
    1. 農産物におけるブランド化の背景
    2. ブランド化を目指すマーケティングのプロセス
      1. 農産物のマーケティング
      2. ブランド化とマーケティングのプロセス
    3. 都道府県を主体とした新品種のブランド化
      1. 第1のステップ「ブランド計画の明確化と確立」
      2. 第2のステップ「ブランド・マーケティング・プログラムの立案と実行」
  • 第2節 イチゴの市場流通における産地と品種
    1. イチゴへの限定
    2. イチゴの流通と品種
第2章 イチゴにおけるブランド化と品種の役割
  • 第1節 我が国におけるイチゴの流通と品種育成
    1. イチゴ品種の変遷
    2. 多品種期における育成地による品種のブランド化
  • 第2節 「価値競争」とブランド化における品種の役割
    1. ブランド研究の展開と「価値共創」アプローチ
    2. ブランド化における品種の役割
    3. 品種の育成主体としての都道府県
  • 第3節 福島県におけるイチゴの生産振興と品種の育成
    1. 分析対象の選定
    2. 福島県におけるイチゴの生産と消費
    3. 福島県によるイチゴ品種の育成
    4. 福島県オリジナル品種の官能評価
    5. 福島県オリジナル品種「ふくはる香」の経営面での特徴
第3章 消費者選好における「産地」「品種」情報の有効性
  • 第1節 目的と課題
  • 第2節 データと方法
    1. データ
      1. 予備調査の概要
      2. 本調査の概要
    2. 方法
  • 第3節 結果
    1. 予備調査
    2. 郵送調査
      1. 記述統計
      2. 購入している産地と地元産の範囲
      3. イチゴの購入価格とフェイス項目
      4. 購入している産地とフェイス項目
      5. 産地と品種の情報を導入した選択実験
      6. 購入時点で「重視すること」
  • 第4節 考察
第4章 小売り段階における都道府県が育成した品種に対するニーズの存在
  • 第1節 目的と課題
  • 第2節 データと方法
    1. データ
      1. 小売業者を調査することの意義
      2. 調査の概要
    2. 方法
      1. 福島県産イチゴの流通
      2. 新製品開発と先発優位性
      3. 福島県によるイチゴ品種選択における3つのシナリオ
      4. 品種の評価手法
  • 第3節 結果
    1. 調査サンプルの概要と品種の取り扱い状況
    2. 15の評価項目に基づいた4品種の特徴
    3. 「ふくはる香」と「とちおとめ」に対する評価
    4. 品種の好ましさ
    5. 自由記述による要望
  • 第4節 考察
第5章 イチゴにおける品種のネーミングと品種活用方策
  • 第1節 目的と課題
  • 第2節 データと方法
    1. データ
      1. 分析対象品種の選定
      2. 調査の概要
    2. 方法
  • 第3節 結果
    1. 品種のネーミング
      1. 品種名の候補の提案方法と込められた意図
      2. 品種名の言語学的検討
      3. 品種名に対する消費者の評価
      4. 示唆的イメージと音象徴の評価
    2. 品種活用方策の類型化
      1. 県外許諾と産地規模による分類
      2. 類型ごとの品種名の特徴
    3. 品種の活用方策とネーミング
  • 第4節 考察
第6章 ブランド化戦略向け品種としての都道府県育成品種の評価
  • 第1節 目的と課題
  • 第2節 データと方法
    1. データ
      1. 調査事例の選定
      2. 「ふくはる香」と「あまおう」への限定
      3. 調査の概要
    2. 方法
      1. 品種選択におけるブランド・スイッチ
      2. 消費者の態度
      3. 分析モデル
  • 第3節 結果
    1. 対象品種の知名および喫食経験
    2. 消費者行動モデルの分析結果
      1. モデルに用いる変数の記述統計
      2. 好意的な態度形成と購入意向
      3. 態度形成要因の態度および購入意向への影響
  • 第4節 考察
第7章 新たに育成された品種を選択する消費者の購買意思決定プロセス
  • 第1節 目的と課題
  • 第2節 消費者の購買意思決定プロセスと考慮集合
    1. 農産物における購買意思決定プロセスに関係する先行研究
    2. 考慮集合に関係する先行研究
    3. 分析視点
  • 第3節 データと方法
    1. データ
      1. 購買意思決定プロセスを分析する対象
      2. 調査の概要
    2. 方法
  • 第4節 結果
    1. 購買行動に関する意識モデル
    2. 購買意思決定プロセス
      1. 知名および考慮、選好
      2. 知名集合および考慮集合
      3. 意思決定プロセスの類型化
      4. 偶発的選好を行う類型における選好
  • 第5節 考察
第8章 農産物直売所における消費者行動
  • 第1節 背景と目的
  • 第2節 データと方法
    1. 調査概要
    2. 方法
      1. 購買実験
      2. 滞在時間調査
      3. 出口調査
      4. 購買行動調査
  • 第3節 結果
    1. 購買実験
    2. 滞在時間調査
    3. 出口調査
    4. 購買行動調査
  • 第4節 考察
終章 後発産地における新品種育成によるブランド形成の方向性
  • 引用文献
  • 初出一覧
  • おわりに

著者紹介

半杭 真一(はんぐい しんいち)

東京農業大学国際食料情報学部准教授。専門は農産物の消費行動研究とマーケティング。

※発行時の奥付より

受賞

令和元年度 日本農業経営学会賞学術賞

装幀