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子ども家庭福祉概説
  • 仕様:B5判並製
  • 172ページ
  • ISBN978-4-88359-380-4
  • 発行日:2022/04/01

子ども家庭福祉概説

小宅 理沙 監修

今井 慶宗 中 典子 中川 陽子 編集

定価2,750円(2,500円+税)

在庫:あり

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概要

最近では、保護者による児童殺害事件をテレビやニュースで見聞きしない日はない。本書は、保育士など子どもの福祉に職務上関係する専門家をはじめ、それを目指す学生など全ての人に一度は目を通して欲しい一冊である。子育ての責任はどこにあるのか。第一義的責任者として保護者があげられるが、国および地方公共団体など社会も責任を担っているといえる。特に、児童福祉施設である保育所での子育て支援は大きな役割を果たしており、そのため保育士には高い専門性が求められる。また専門的技術に加えて保護者への支援や関連機関との連携、地域で暮らす子どもやその保護者への支援もが職務内容とされている。これは、児童福祉が児童家庭福祉、さらに子ども家庭福祉へと転換を遂げたことを意味する。保育士などが職務を全うするためには、子ども慈しむ気持ちだけでなく、専門的な知識をもってその命を守らねばならない場面も多いが、保護者や家族を取り巻く社会資源もまた鍵を握っている。児童虐待の防止等に関する法律にもあるように、「学校の教職員、児童福祉施設の職員、医師、歯科医師、保健師、助産師、看護師、弁護士、警察官、婦人相談員その他児童の福祉に職務上関係ある者」など各専門家は虐待を発見しやすい立場にあることを自覚し、早期発見に努めなければならないのである。

目次

  • はじめに
序章 子ども家庭福祉の概要
第1章 子どもの権利
  • 第1節 児童の権利に関する条約と日本における子どもの権利
    1. 児童の権利に関する条約の制定まで
    2. 児童の権利に関する条約
    3. 日本における子どもの権利
  • 第2節 児童福祉施設における子どもの権利擁護
    1. 苦情解決制度
    2. 自己評価・第三者評価事業
    3. 懲戒に係る権限の濫用禁止
    4. 権利擁護のための法令など
第2章 子ども家庭福祉の歴史
  • 第1節 諸外国(イギリス、アメリカなど)の児童家庭福祉
    1. 古代・中世社会と児童福祉
    2. 近世社会と児童福祉
    3. 20世紀初頭から両大戦期間の児童福祉
    4. 第二次世界大戦後から現代までの子ども家庭福祉
  • 第2節 日本の子ども家庭福祉
    1. 古代・中世・近世社会の児童福祉
    2. 明治・大正・昭和初期の児童福祉
    3. 戦後の児童福祉から現代の子ども家庭福祉
第3章 子ども家庭福祉の制度
  • 第1節 児童福祉法
    1. 児童福祉法の歴史
    2. 児童の定義
    3. 子どもに関する施設の規定
    4. 子ども家庭福祉に関する法律の概要
    5. ひとり親家庭への福祉
第4章 母子保健サービスの現状
  • 第1節 母子保健事業の各法律における位置づけ
    1. 児童福祉法における母子保健事業
    2. 2017(平成29)年4月1日児童福祉法等改正後の母子健康事業
    3. 母子保健法における母子保健事業
  • 第2節 乳幼児健康診査
  • 第3節 医療機関における母子保健事業との連携
    1. 妊産婦健康診査
    2. 新生児マススクリーニング
    3. 小児慢性特定疾病医療費の支給
    4. 自立支援医療制度
    5. 子どもの心の診療ネットワーク事業
  • 第4節 少子化社会等への取り組み
  • 第5節 保育士が行う母子保健関連の地域子育て支援
    1. 乳児家庭全戸訪問事業「こんにちは赤ちゃん事業」
    2. 養育支援訪問事業
第5章 子育て支援
  • 第1節 少子化対策の動向
    1. エンゼルプランと新エンゼルプラン
    2. 次世代育成支援対策推進と少子化社会対策
    3. 子ども・子育て支援の充実に向けた施策
  • 第2節 子ども・子育て支援新制度
    1. 子ども・子育て支援新制度の体系
    2. 子ども・子育て支援新制度の体系の内容
  • 第3節 子育て支援の充実に向けた課題
    1. 子育て支援制度の円滑な実施
    2. 待機児童の解消
    3. 「小1の壁」の打破
  • 第4節 子育て段階に応じた支援
  • 第5節 今後の子育て支援
    1. 子育て世代包括支援センターの法定化
    2. 支援ネットワークの充実
第6章 児童虐待/ドメスティック・バイオレンス(DV)の現状と今後の課題
  • 第1節 児童虐待とは
    1. 児童虐待の定義
    2. “しつけや教育”と児童虐待との違い
    3. 児童虐待の通告の義務
    4. 児童虐待の早期発見の義務
    5. 児童虐待をめぐる今後の課題
  • 第2節 ドメスティック・バイオレンス(DV)とは
    1. DVの種類
    2. DVのサイクル
    3. DV被害者が加害者から逃げない・逃げられない理由
    4. 相談窓口および避難場所
    5. 保護命令
    6. デートDV
    7. DVをめぐる今後の課題
    8. 〔コラム1〕母子生活支援施設の母子のストレングスと愛着関係
第7章 社会的養護
  • 第1節 社会的養護とは
  • 第2節 施設養護
    1. 児童福祉施設
    2. 児童養護施設の形態の現状
  • 第3節 家庭養護
    1. 里親制度
    2. 小規模住居型児童養育事業(ファミリーホーム)
    3. 里親手当
    4. 養子縁組制度
第8章 障害の定義と現状
  • 第1節 障害の法的定義と障害者手帳制度
    1. 障害者基本法
    2. 身体障害者福祉法・身体障害者手帳
    3. 知的障害者福祉法・療育手帳
    4. 精神保健及び精神障害者に関する法律・精神障害者保健福祉手帳
    5. 発達障害者支援法
    6. 児童福祉法
  • 第2節 障がい児の状況
    1. 身体障害
    2. 知的障害
    3. 精神障害
    4. 発達障害
  • 第3節 福祉サービス
    1. 障害者総合支援法に基づくサービス
    2. 児童福祉法に基づくサービス
    3. 教育サービス
    4. 経済的支援の制度
    5. 〔コラム2〕「DSM–5」での発達障害の診断基準の変更
    6. 〔コラム3〕運動療育型「スパークル・スポーツクラブ」の活動を通して
第9章 子どもと非行
  • 第1節 非行少年とは
    1. 犯罪少年
    2. 触法少年
    3. 虞犯少年
  • 第2節 非行少年に関連する法制度
    1. 少年法
    2. 刑法
    3. 児童福祉法
  • 第3節 非行少年に対する支援に関する手続きの流れ
  • 第4節 非行少年に対する支援
    1. 少年院での支援
    2. 児童自立支援施設での支援
第10章 特別な配慮を必要とする子どもの養育環境
  • 第1節 子どもの貧困
    1. 貧困とは
    2. 子どもの貧困にかかわる法制度
    3. 社会問題からみる子どもの貧困への取り組み
  • 第2節 外国につながる子どもとその家庭への支援
    1. 外国につながる子ども
    2. 外国につながる子どもとその家庭への支援
    3. 外国につながる子どもとその家庭に対する保育者の役割
    4. 〔コラム4〕日本におけるイスラム教をバックグラウンドに持つ子どもたち
    5. 〔コラム5〕外国人介護人材の受け入れについて
第11章 子ども家庭への支援活動
  • 第1節 専門職によるコーディネートとネットワーク
    1. アメリカにおけるスクールソーシャルワーク
    2. わが国におけるスクールソーシャルワーク
    3. 近年の支援事例の状況
  • 第2節 支援活動の事例
    1. SSWが相談を受けた事例の概要
    2. ケース会議後のSSWの動き
    3. SSWによる支援後のA男の状況
  • 第3節 子ども家庭に対して援助をする専門職の役割
資料
  • ●児童虐待防止対策の強化を図るための児童福祉法等の一部を改正する法律 新旧対照条文
  • ●児童の権利に関する条約
  • ●編著者紹介

監修者紹介

小宅 理沙(こやけ りさ)

同志社女子大学現代社会学部 助教(2018年4月~2022年4月1日現在)科学研究費助成事業・基盤研究(C)「日本で生活するイスラム教徒への妊娠・出産・子育て支援」研究代表(2021年4月~)

    【主要著書・論文】
  • 『保育士・看護師・介護福祉士が学ぶ社会福祉』監修 青山社 2019年
  • 『INNOVATIVE EXPLORATORY RESEARCH』「Sexual victims—supporting women’s sexual and reproductive choices and well-being」pp.46–48  Science Impact社 2021年10月
  • 『社会的養護Ⅰ・Ⅱ改訂版』監修 翔雲社 2022年
※発行時の奥付より

編集者紹介

  • 今井 慶宗(いまい よしむね) 関西女子短期大学
  • 中 典子(なか のりこ) 中国学園大学
  • 中川 陽子(なかがわ ようこ) 大阪成蹊短期大学
※発行時の奥付より

装幀