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日本敗戦の代償
  • 仕様:A5判並製
  • 470ページ
  • ISBN978-4-88359-366-8
  • 発行日:2020/01/12

日本敗戦の代償

-神道指令・著作権・戦時加算

大家 重夫・川上 拓美 共編

定価2,750円(本体2,500円+税)

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概要

昭和16年12月、日本は米国、ハワイの真珠湾を攻撃、戦争を始めた。昭和12年7月の衝突から始まった蒋介石中国との「支那事変」も闘いながら、香港、シンガポール、ラバウル、太平洋の島々にも兵を進めた。昭和20年8月15日、日本は降伏し占領された。「大東亜戦争」の用語使用は禁止され、文書は検閲された。昭和27年、対日平和条約が約50の戦勝国と締結されたが、著作権については。優遇措置を強要された。戦後は続く・・・。それら実態を概括した1冊である。

目次

  • はじめに
  • 日本占領軍行政機構
第一章 大東亜戦争とは何だったのか(大家重夫)
  • 一.日本は、どの国と戦争をしたか
    1. 日本敗戦・一九四五年九月の状況
    2. サンフランシスコ平和条約と著作権戦時加算
    3. 連合国=国連
  • 二.真珠湾奇襲と大東亜戦争を考える
    1. 大東亜戦争
    2. 占領と神道指令
    3. サンフランシスコ平和条約
    4. 真珠湾奇襲は合法か
    5. ハミルトン・フィッシュ
  • 三.大東亜戦争はルーズベルトが日本を挑発し、先制攻撃させたのか
    1. 歴史修正主義
    2. 日本敗戦直後に「日本は嵌められた説」があった
    3. 戦後五〇年になって、アメリカから「日本は嵌められた説」が出現
    4. 「ヴェノナ」公表後の日本の出版界
第二章 人権指令と神道指令
  • 一.資料・人権指令―政治、民権ならびに信教の自由に対する制限の撤廃に関する覚書
  • 二.資料・教育制度の管理に関する指令
  • 三.資料・新聞ならびに言論の自由に関する指令
  • 四.資料・神道指令
  • 五.資料・日本の郵便切手及び通貨のデザインにおける特定の主題の禁止
  • 六.資料・地域組織による神道の財政援助と支援
  • 七.資料・宗教団体が使用中の国有地の処分の件
  • 八.資料・公葬等について(内務、文部事務次官通牒)
  • 九.座談会「終戦直後の宗務行政」(福田繁・渋川謙一・河和田唯賢・阿部美哉・大家重夫)
  • 一〇.バンス大佐と神道指令(大家重夫)
戦争と著作権
  • 一.占領下の著作権事情―対日占領政策と著作権(大家重夫)
    1. 戦争を始めたが敗北した
    2. 連合国軍総司令部(GHQ)による行政
    3. GHQの組織とこれを構成した人々
    4. GHQの著作権行政、内務省の廃止、文部省、著作権室設置
    5. GHQは、覚書を発出する
    6. 回状第一二号
    7. 用紙割当・外国図書翻訳許可。入札制度
    8. 外国図書の翻訳の許可・不許可の事例
    9. 東久邇宮内閣・幣原内閣・一次吉田内閣・片山内閣、芦田内閣
    10. フォルスター事務所は昭和四九年末まで存続した
    11. 中華人民共和国・朝鮮戦争・対日平和条約
  • 二.資料 「回状第一二号」 
  • 三.占領政策と外国著作権(法貴次郎)
    1. はしがき
    2. 総司令部回状第一二号
    3. 外国人に移転された著作権の登録及び保護に関する政令
    4. 文部事務次官通牒
    5. 対日平和条約の発効
  • 四.資料・金融の取引の統制に関する覚書(一九四五年九月二二日)
  • 五.資料・日本に於ける外国人所有の著作権の登録及び保護に関する件
  • 六.資料・著作権法改正に関する請願
  • 七.資料・ベルヌ条約の翻訳条項に対する日本の留保の経緯と日米間の翻訳自由の再現に関する要望
  • 八.資料・著作権法改正に関する件
  • 九.一九八九年以前の米国著作権制度(大家重夫)
    1. アメリカ合衆国憲法の特許・著作権条項
    2. ベルヌ条約に対するアメリカの態度
    3. 外国人著作者の保護と製造条項(manufacturing clause)
    4. 合衆国は二国間又は特別条約で外国人著作者を保護
    5. 日本、著作権法を制定し、ベルヌ条約に加盟
    6. アメリカ著作権法の改正
    7. 日米間著作権保護ニ関スル条約
    8. ベルヌ条約ベルリン会議での翻訳権一〇年留保
    9. ベルヌ条約の「同時発行(simultaneous publocation)」
    10. 日米の戦争と日本敗戦
    11. アメリカ、万国著作権条約に加入
    12. アメリカ、ベルヌ条約に入り、ベルヌ加盟国となる
  • 一〇.ノルマンディー上陸作戦の史跡レストランと著作権・所有権(大家重夫)
    1. はじめに
    1. 第二次世界大戦
    2. ノルマンディー上陸作戦とカフェ・ゴンドレ(CAFÉ GONDRÉE)
    3. 建物の所有者が、所有権で訴訟を提起する
    4. 破棄院判決をめぐって
    5. 日本は、旧著作権法時代、「所有権」をどう考えたか
    6. 一九七〇年著作権法―二五条、四五条、四六条、四七条
    7. 一九七〇著作権法下での「所有権」
    8. 所有権、著作権、パブリシティ権に関係した判決例
    9. フランス破棄院判決とフランス知的所有権法典一一一条の三第一項
    10. 日本ではどうあるべきか―日本の関連判例へのコメント
    1. むすび
  • 一一.メーテルリンク「青い鳥」と著作権(大家重夫)
第四章 戦前・戦中・戦後の著作権研究者(大家重夫)
  • 一.大東亜戦争と著作権研究者
       -宮田昇、プラーゲ博士、水野錬太郎、山下博章、小林尋次、城戸芳彦、伊藤信男、国塩耕一郎
    1. はじめに
    1. 宮田昇(一九二八―二〇一九)
    2. プラーゲ博士(一八八八―一九六九)
    3. 水野錬太郎(一八六八―一九四九)
    4. 山下博章(一八九八―一九四三)
    5. 小林尋次(一九〇〇―一九七七)
    6. 城戸芳彦(一九〇〇―一九七三)
    7. 伊藤信男(一九一〇―一九九〇)
    8. 国塩耕一郎(一九〇五―一九八六)
  • 二.法貴次郎東海大学教授と著作権
    1. 出生から東京帝大卒業まで
    2. 文部省へ転職
    3. 文部省、動き始める
    4. 昭和二六年九月八日、日本国との平和条約調印
    5. 法貴次郎は、何故退任したか
    6. 東海大学教授を二二年務める
    7. 宮田昇「翻訳権の戦後史」に遭遇する
第五章 呼称について(大家重夫)
  • 一.「支那」という呼称
第六章 戦時加算問題、その経緯と取組み
    ~著作権の戦後はまだ終わっていない~(川上拓美)
  • はじめに
  • 一.日本の戦時加算とは何か
    1. 戦時加算に関する規定
    2. 対象国と戦時加算期間
    3. 戦時加算の対象となっている作家の作品の利用
    4. 平和条約に署名していない連合国等
  • 二.日本にのみ戦時加算が課せられた経緯等
  • 三.制度としての戦時加算はヨーロッパに始まる
    1. 第一次世界大戦後の戦時加算の状況
    2. フランスにおける戦時加算制度導入の経緯
    3. 第二次世界大戦後の戦時加算の状況
  • 四.ヨーロッパにおける保護期間の延長と戦時加算の取扱い
  • 五.保護期間の延長と戦時加算に関する学説
  • 六.日本における戦時加算問題に関する動き
    1. 条約締結時における政府答弁
    2. 昭和四四年著作権法改正案と戦時加算の取扱い
    3. 昭和四五年著作権法改正案と戦時加算の取扱い
  • 七.戦時加算に関する審議会の検討状況
  • 八.知的財産推進計画と戦時加算
  • 九.CISAC(著作権協会国際連合)の決議
  • 一〇.「著作権問題を考える創作者団体協議会」の活動
  • 一一.戦時加算に関する判例
    1. 著作権侵害排除等請求事件(ミュシャの絵画の戦時加算事件)
    2. リヒャルト・シュトラウスの著作権に関する諸事件
  • 一二.TPP協定及び日EU・EPA協定における戦時加算問題の取扱い
    1. TPP協定
    2. アメリカのTPPからの脱退とTPP11協定の締結
    3. 日EU・EPA協定
  • 一三.資料・[平和条約関係]
    1. 日本国との平和条約
    2. 平和条約第一二条に基づく著作権に関する内国民待遇の相互許与に関する日米交換公文
    3. 連合国及び連合国民の著作権の特例に関する法律
    4. 日米間著作権保護に関する条約
第七章 宗教・言論統制・著作権等についての覚書・指令・法律等の題名(大家重夫)
  • 一.資料1
  • 二.資料2
  • 三.資料3
第八章 日米安全保障条約(大家重夫)

  • 判例索引
  • 人名索引

編著者紹介

川上 拓美(かわかみ ひろみ)

旧文部省入省。文化庁著作権課課長補佐、群馬大学学生部長、社団法人日本音楽著作権協会(JASRAC)総務本部副本部長・同常任理事、著作権情報センター(CRIC)参与を歴任後、平成24年から内閣府認証特定非営利活動法人学生文化創造事務局長。

大家 重夫(おおいえ しげお)

久留米大学名誉教授。株式会社インタークロスIT企業法務研究所客員研究員。京大法卒、旧文部省に27年間間勤務、文化庁著作権課課長補佐、著作権調査官等を経て1988年から、久留米大学法学部教授。

※発行時の奥付より

装幀

正誤表

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